未熟者

頭の中

私はよく、心で自分を守る。

《見た目はババア・頭脳はティーン…》

保護者が集まったとき、よく思ってた。

私は、保護者の中では若い方だった。

人とうまく話せないのもあり、いつも一人。

数人の40~50代の保護者が集まって、輪になり話してる。

一度、こちらをチラチラ見ながら話してた。

《…なに?若い子みたいに…悪口か?》

とか思ってたら、つい。

《見た目はババアなのに…中身は中学生か》

そう頭に浮かんだ瞬間、一人でツボに入ってしまった。

《見た目はババア・頭脳はティーン…なんちゃって》

…いま思うと、全然面白くないんだけど。

妙にハマってしまい

「はっ…ふんっ」と、口から漏れた。

《笑うな笑うな、笑っちゃいけない…》

思えば思うほどヤバい。口周りがピクピクしだした。

皆に背を向け、咳き込む素振り。

《帰りたい…》

丸くて広い背中を屈めて、一人芝居。

《なんて滑稽なんだ。私は…》

何事もなかったように、くるっと向き直す。

…まだ見てやがる。あいつら。

イラッとしたので、そのままジーッと集団を見る。

すると、一人の保護者が輪から外れて近付いてきた。

《なによ…》

顔は穏やかに、心でキッと相手を睨む。

『あの…○ちゃんのお母さんですよね?お菓子、貰いましたか?』

娘が最近、吹奏楽部に入った。

同じく吹奏楽部の保護者たちだったよう。

「お菓子…?」

『ああ!まだですよね。これ、△先生からです~』

「あっ…ありがとうございます…」

…嬉しい。お菓子もらっちゃった。

先日、子供たちの準備のお手伝いをした。

そのお礼に配ってたそう。

私は新人だから、すべての保護者が把握してなかったっぽい。

《…恥ずかしいなぁ。》

手のひらいっぱいに、お菓子を乗せてくれた。

《ごめんなさい…すぐ人を敵視しちゃいけない…》

下唇を噛み締めながら、お菓子を見つめた。

33才の春。

なんだかまた少し、大人になれた気がした。

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