《タイムマシーンで過去に戻れたら…何しよう》
そんなことを、よく考える。
数年前。娘がまだ小学生のころ。
よく、早退をしていた。
車がないため歩いて迎えに。
『…疲れたね?(笑)お昼何にしようかねぇ~』
まだ昼前というのに、疲れきった表情の娘に話しかける。
…ピカーッと晴れた、車通りも少ない道を
二人ならんで歩いて帰る。
校庭からは、子供たちの元気な声。
私ですら、その声を背に家に向かうのが辛かった。
娘は……。
『…あっ!猫…!』
猫が集まる公園と聞いてはいたが、初めて見た。
通称 “ボス” と呼ばれている三毛猫。
『こんにちはっ』
声をかける私を見もせず、耳だけピクッと。
ムスッとしたまま、あちらを向いている。
『今日は帰ろっか(笑)』
「またね~」と手を振る娘の声にも、耳しか動かしてくれなかった。
早退をした日は、いつもこの公園を通るように。
4回目ぐらいで、あの誰にも懐かないと有名なボスちゃんが、ゴロゴロ言いながら膝の上に。
娘も、その時だけは表情がパッと明るくなっていた。
『…いつもありがとうね…』
娘の膝の上で幸せそうに寝ているボスちゃんに
感謝を伝える。
しばらく戯れて…
「また来るね」
そっと膝からおろし、二人でバイバイする。
綺麗に座って、こちらを見送るボスちゃん。
また、二人で歩き出す。
…本当なら、学校で授業を受けている時間。
娘が友達とトラブルになったときに
《私がもっと担任や相手の子供に強く言っていたら、こんなことにならなかったんじゃないか》
四六時中、そんなことを考えていた。
《私が母親じゃなければ…娘は幸せだったんじゃ…》
頭のなかとは裏腹に、娘に対しては空元気。
家に着くまでの20分、私が一人で喋っていた。
やっと到着。
手を洗い、そのまま疲れて眠る娘。
外はすごく明るくて…二人なのに、孤独だった。
本当に。
――あれから4年。
今まで本当に、色々と悩んできたけど。
娘は人の汚いところを見てたくさん学んだし、
今では良い人に恵まれてる。
やりたいことも出来てる。
私も、娘がいたから自分の人生を歩めてる。
ボスちゃんは…
噂では、死んでしまったみたいだけど。
私たちの中では、まだ鮮明に残ってる。
険しい顔から気の抜けた顔に変わった、あの子を。
きっと、また出会えるんだろうなぁ…と思ってる。
いろいろ考えたけど。
結局、この環境で、この人生を生きるしかない。
ころしたいほど憎いヤツでも、ころしたら
こっちの人生が終わる。
アイツも、アイツも、アイツも…やってやりたかったけど。
深くため息をついて、バランスをとる。
今より心地よく生きられるよう努力して。整えて。
……あー、あーーーーっ!!!!!クソが!!!!
私、娘がいてよかった。
守るものがないと…何しでかすか分かんなかったよ


コメント