ひとり短編劇

頭の中

《さあ、皆の衆!私を見るがいい。崇めたまえ…》

いつも、私がスーパーやバス停で思ってること。

もちろん誰も崇めたりしない。

それどころか、誰とも目すら合わない。

家から出たくない。

すっっげーーーめんどくさい。

でも、買い物行かなきゃ。作業所行かなきゃ。

生きて行くには、外にでないといけない。

だから “どうすれば嫌々じゃなく外出できるか”

考えてみた。

毎日メイクして、首まで日焼け止めを欠かさない。

美白のためにビタミンCサプリも。

…これ、ぜんぶ自分のため。

《あ…“お披露目してあげる”って思えば楽しいかも》

ひらめいてしまった。

そこから毎度、外出しないといけないときは

「あーっ!めんどくせーー!!」と声に出しながら身支度して、深いため息をつく。

そして。

玄関の扉を開けたら、ステージの幕開け。

一歩外に踏み出したら、

家での汚い言葉遣いなんて封印。

日傘をサッと開き、ルンルンと歩き出す。

《引きこもりで手に入れた、この白い肌。あー…外で見ると…発光して更に綺麗だわ…》

なんてうっとりしながら、スーパーまで歩く。

急に

《あれっ。お金入ってたっけ…昨日使ってゼロかも》

心配になり、信号待ちの間に財布を開く。

千円札と百円玉、それぞれ1枚ずつ確認。

安心して、また歩き出す。

途中…

『あ~、めんどくさいですねーw』

どこかから嘲笑する私の声。

が、無視。ガン無視。

色んな気持ちに振り回されながら、スーパーに到着。

「あー…涼しい…」

店内は冷房が効いてて気持ちがいい。

でも、滝汗。

子供の頃から、ずっと異常な汗っかき。

涼しい店内で、私一人だけハンカチで汗を拭いてる。

《…ふーっ…汗を拭う仕草すら美しい…》

なんとか、そう思い込みながら

買い物リストのメモを見ながらお買い物。

《高っ…あっちのスーパーでは大根、半額だぞ》

大根の購入を断念。

なんせ、1,100円しか持ってない。

その間も、早く家に帰りたい。だから…

《このお店明るい…私の為のスポットライトみたい》

こんな風に、自分を鼓舞する。

おじさんがこちらを見ている。

《見るがいい見るがいい見るがいい…焼き付けろ》

そんなことを考えてるうちに、買い物終了。

ちなみに、さっきのおじさんは私の後ろにあった豆腐を取りたかったよう。

少ない荷物をエコバッグに詰め込み、足早に店を出る。

《…あつっ…暑っ…死ぬぞこれww》

滅多に外にでないからか、暑くて溶けそう。

もう何も考えたくない。

《家、家、家…》

もう “お披露目してあげる” とか、どうでもいい。

汗も拭かずに前だけを見て歩く。

ハァハァと息を切らしながら、早足で家に到着。

ガチャガチャと乱暴に鍵をさし、開きの悪い玄関を豪快に開ける。

「ただいまーーーーっ!!疲れたーーー!!」

おわり。

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