26のとき、キャバクラで指名NO.1だった。
80キロでシングルマザーの私が。
『ユリちゃん、場内指名いただきました~っ!!』
『ありがとーございまぁーーすっ!!!』
♪~ズンチャッズンッズンッ~…♪
――ボーイ達の低く通る声と、体の芯から震わせるようなけたたましい音楽が店内に響き渡る。
絶え間なく光り続ける、カラフルなミラーボール
…ああ、目眩がしそう。
「ほんっと可愛いよね~」
「また来るよ!連絡ちょうだいね」
目尻が下がり、ふにゃふにゃ顔のお客たち。
私も頬が痛くなるくらい笑顔を作っていた。
仕事が終わり、待機室へ。
『お疲れさまでーす』
私が部屋に入った瞬間、空気が張りつめる。
さっきまでの賑やかなお喋りもピタリと止まる。
誰もこちらを見ない。
わざとらしく顔を背ける子も。
「……でーす…」
ボソッと、いつも一人でいる群れてない子だけがスマホを見ながら返してくれた。
《あ、ここでは歓迎されてないな》
そう感じながら、そそくさと帰り支度。
視線を背中に感じながら部屋をあとにする。
――今の私は
“○ちゃんのママ”
“B型作業所の△さん”。
鏡の自分と見つめ合う。
《…まだ需要…あるよね?》
パパッとメイクし、
お気に入りのワンピースを取り出して
シュッとコロンをかける。
《よしっ!》
低めのパンプスを履き、
顔をあげて背筋を意識しながら歩く。
目の前から歩いてきたのは、スラッと細長い足をスカートから覗かせ、堂々と歩く若い女の子。
すれ違う男性たちの視線は、その子に釘付け。
まるで私は、空気のよう。
誰とも視線がぶつからない。
《…何が “よしっ!” だよ…》
チクッと胸が痛む。
なんだか情けなくて、笑ってしまった。
※元記事はこちら↓

ユリちゃんだったあの頃と、今。
『ユリちゃん、場内指名いただきました~っ!!』『ありがとーございまぁーーすっ!!!』 ♪~ズンチャッズンッズンッ~…♪――ボーイ達の低く通る声と、体の芯から震わせるような、けたたましい音楽が店内に響き渡る。絶え間なく光り続ける、カラフルなミ…


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