もう優しくしないでくれ

頭の中

《なんで私だけが… “こんなん” なんだろう…》

社会で散々感じてきたことだけど、

家族の中でもそうだった。

母・兄・妹・そして今は亡き父は、人に可愛がられる。

私以外の家族、みんな。

困ったことがあれば人に助けてもらえるし、

友達も多い。

数年前―

祖父の葬儀を、身内だけで行った。

私と妹だけが葬儀所に残り、母達は買い出しに。

その間に親戚も多く駆け付けてくれた。

「どうぞ~」と、妹が皆に声を掛ける。

お菓子や寿司などが並ぶテーブルを囲み、

各々賑やかに団らんしていた。

「飲み物何にしますか?」と、

これまた妹が皆に聞き、注いでいる。

私は…

そこに、ボーッといるだけ。

何をしたらいいか分からなかった。

そのとき、私は26才。

立派な大人なのに、緊張して一言も喋れなかった。

当時の私はアルコールに溺れ、毎日一人で過ごしていた。

そんな中での、祖父の訃報。

黙って座っているだけの私に、親戚の一人が…

『妹ちゃんの方がお姉さんみたいだね』と。

一瞬、

…シーーーン……

と静まり返り、

「ふふふっ…」「そんな…ねぇ?」と、困ったように笑う女性たち。

私も『ははっ…』と笑ってみた。

多分このとき、うまく笑顔を作れていなかった。

なんだか居づらくなり、一人で祖父の眠る祭壇の前へ。

並べてあった椅子にドスッと腰かけ、

写真の中で笑う祖父に

《じいちゃん…なんで私だけこうなんだろうね…》

と、心の中で問いかけた。

いつの間に母たちも戻ってきており、兄が

「…ごはん食べないの?」と、私に声をかける。

『んー。いらないかな…』

振り向きもせず、返事をする。

奥の部屋からは、楽しそうな声がする。

「○△兄さんは、しっかりしちょったよね~」

「俺も子供の頃から何回も怒られたっど。“コラッ!” っち(笑)」

祖父の兄弟も県外から到着し、思い出話に花を咲かせていた。

静かに一人、祖父と向い合わせで座る私に…

「はいっ。おまえ揚げ物好きでしょ?」

兄が皿に山盛り、茶色いおかずたちを盛り付けて

持ってきてくれた。

『…ああ……』と、ありがとうも言わず受けとる私。

「来れたらあっち来いよ。ジュースもあるから」

と残し、兄は皆の待つ部屋へ戻っていった。

《こんな…迷惑までかけて…》

苦しそうな顔で唇を噛み締めながら、涙を流さず泣いていた。

すごくお腹が空いていたようで、すぐに平らげた。

『ごちそうさまでした…』

空になった皿を戻しに、部屋に戻る。

黙ってテーブルのジュースを注ぎ、立ったまま飲み干す。

「こっちにポテチあるよー…って、聞いてない」

妹の声を背に、部屋を後にする。

もう優しくしないでくれ。

なぜか消えてしまいたくなるから。

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