私は真面目だった。
でも、頭が悪い。
そのせいで嫌な思いもたくさんした。
中学のとき。
バレー部に入ったはいいが、ひたすら走り込みでキツすぎた。
で、1日で辞めることに。
友達と一緒に入っていたため、辞める日も一緒に部室へ向かう。
「辞める理由…どうしよう」と、友達。
『あー、私は考えてきたよ』
前の夜、一人で2時間ほど考えた。
たった1日で辞めるため、先生を納得させないといけない。
空っぽな頭をフル回転させ、メモをしながら。
「…なんて言う?」
『えっとねー… “楽しくバレーを出来たらいいなと思っていたんですが、思っていたより大変で、とても勉強との両立が難しいと思いました。なので、たった1日で申し訳ないのですが、辞めます” って。』
「…へー…」
部室へ着いた。
竹刀を持った部活の顧問が、足を開いて椅子に座っている。
私と友達、同時に退部届を渡す。
【…なんで辞めたいと思った?】
顧問に聞かれ、私が口を開こうとする間もなく
友達が矢継ぎ早に…
「楽しくバレーを出来たらいいなと思っていたんですが思っていたより大変でした勉強との両立が難しいので申し訳ないですが辞めます。」
《……えーーーーーーっっ!!!私のーーーっ!!》
これまでにないほど高速で、隣の友達をサッと見る。
ヤツは、下を向いている。
【…おまえは?】
顧問が私を見ている。
『えーっと…………同じです…。』
気まずい空気が流れる。
ふーん…という感じで、退部届けに視線を落としていた。
無事に辞められた。
ちなみにその日、友達とは一度も目が合わなかった。
このあとも、同じようなことが何度も。
私は学べないみたい。
だから今は、娘に
『昔こんなことがあったのよ。大事なことは黙っとくんだよ!じゃないと~…』
と言ってる途中で―
「…もう何回も聞いたよ、それ。…今日で5回目。」
《 う そ で しょ !?? 》
全身にドーーンッと、電気が走った。
『ヒへェェ~ッ!??』と高くて変な声が出た。
かっ開いた目が閉じられない。
マジで…覚えてない。
でも…
いいのいいの、それならいいの……。
私の頭の悪さは多分、娘には遺伝していない。
最近の娘は、呆れ笑いをしながら私を見るのがデフォルト。
どうやら、私の代でピリオドを打てそうだ。


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