ずっと空いてる

あの頃

「この子は、よー食べる(笑)」

お菓子やごはんにがっつく幼い私を見て、祖母が笑う。

保育園から帰ると、私はすぐ食べ物を欲しがってた。

私の通ってた保育園では、それぞれ弁当を持参。

手作りのお弁当を持ってきてる子がほとんど。

私は、惣菜のパン2つぐらいを持って行ってた。

たまにお弁当を作ってくれたような…でも、基本これ。

弁当箱に綺麗にドンッ!と、

コッペパンに何か挟んだものが2つ並んでたことも。

みんな席に着く。

先生の『いただきまーす』のあと、皆で一斉に

「いただきまーす!!」と。

《わぁ…パンだ…》

お腹が空いて仕方がない。

お弁当箱に2つ並んだパンが輝いて見える。

今日、初めてのごはん。

ワクワクしながら眺めていると…

「それ、ちょうだいよ」

意地悪な女の子が二人、私の隣に立っている。

『え…………はいっ』

断れなかった。

2つのうち、1つをあげた。

「…それも。」

こういう日が続き、私は昼ごはん抜きの日があった。

先生を見るも、気付いてくれない。

母ももちろん気付かない。

言えばいいんだけど……言えない。

朝ごはんが食べたいと言えば、不機嫌になる。

『○○ってなに?』と聞いても、無視されるか、そもそも聞いてない。

手伝いをしたいと言うと、なぜか怒られる。

そんな母に、ごはんを取られて食べてないなんて…言えるわけない。

母は仕事のため、よく祖母の家に行っていた。

たくさんたくさん食べさせてくれた。

「よー食べるもんじゃ!(笑)」

その声を聞きながら、私は無心で食べていた。

幼少期、兄と二人でよく留守番していた。

お菓子は普段から家になかった。

そんなある日―

兄が「これ!美味しいよ」と…

手にはアジシオを持っている。

塩を私の手のひらにサーッと出し、

「こうやって舐めるんだよ」と指につけ教えてくれた。

それを真似してやってみる。

『…美味しい…!美味しいね!!』

台所で立ったまま、アジシオを手に二人で感動したあの日。

あれから三十年以上が経った。

今でも惣菜パンも、アジシオも大好き。

あの頃、あれが普通だと思ってた。

今なら分かる。

ぜんっぜん普通じゃねーーーーー!!!!!

あの頃の私に何か言ってあげたいけど、

言葉が…見つからない。

胸に閉まって、たまに思い出して悲しくなるより。

こうして吐き出すことで、少しだけ救われる気がする。

今も、ずっとお腹が空いてる。

さっき食べたんだけどな…。

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