ありがとうを言いたくて

頭の中

二十代の頃。

年上の知人男性にドライブに誘われ、

暇だったので二時間近く付き合った。

アイスを食べたり、なんやかんや楽しめた。

その後カラオケへ。

《あー…つまんないなぁ》

そう思いながらスマホを見つめていた。

相手男性も、なぜか不機嫌。

『…帰りましょうか?楽しかったですー』

とか適当に話して席を立とうとすると…

急にニヤニヤ?ニコニコしだした。

次の瞬間……ブツが。

奴の、ブツが出ていた。

というか、嬉しそうに出していた。

『…はっ!?へっ!?ななな、なに…』

引きつつ焦る私を見ながら、こっちにおいでと手招き。

…意味がわからない。

なんで…なんでチ○コ出した?この人…

『いやいやいや、いやいや!!』

顔の前で手を激しく振り、拒む私。

それを見た男は、また不機嫌に。

怒った顔でブツをしまい、黙ってお会計へ。

《なに、なになに…》

パニックになりながらも慌てて着いていく。

店を出ると、あり得ないぐらい早足で歩いていく。

走っても追い付かない。

《これ…帰っていいんだよね…???》

そう思い、息を切らしながら立ち止まる。

でも、ふと…

《今日、全部お金だしてもらったんだった》

思い出して、また私は走り出す。

『すいませーんっ!すいませっ……はやっ!!』

こんなに呼び止めてるのに、全然止まってくれない。

それでも私はめげない。

やっと追い付き、顔を覗き込み

『今日はありがとうございました!』

《はぁっ…はぁっ……言えた…》

ちゃんと、ありがとうを言えてスッキリした。

男は一度もこちらを見ず、ずんずんと大股早足で去っていった。

―今でも、あの日の正解がなんだったのか。

追い付いて、感謝を言えた達成感と共に思い出す。

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