16歳の娘がバイトの面接へ。
一つ目は落ちてしまい、今日は二つ目の。
《こんなに大きくなったのか…》
少し寂しくもあるけど、やっぱり嬉しい。
初めてのバイト面接は、不安そうだった。
LINEのオープンチャットというのがあるらしく、
そこで色々と情報を仕入れていたらしい。
《ほー…今は便利ですなぁ》
そんなことを思いながら、娘と話していた。
初めての面接のとき。
バスで行くのだが、そこへは行ったことがない。
娘は何度も乗り換えの場所や、バスを降りてからの距離・時間を計算していた。
「えーっと…どうしよ。ここだとバスの時間が…」
一人でブツブツと、なにやら悩んでいる。
どうやら、私に頼る気はないらしい。
少し前なら
「一緒に来てー」と言っていた。
もっと前は、バスなんて一人で乗れなかった。
我が家は車がないので、いつもバス移動。
何度も一緒に乗り降りし、一年ぐらい前から
ようやく一人でどこでも行けるように。
こんなの、些細なことかもしれない。
でも、成長を目の前で見てきたから
なおさら嬉しい。可愛い。
初面接は、明日に迫っている。
「えー…ああ、ここから行けば…」
まだ悩んでおられる。
行き方も大事だけど…
何度も何度も言おうとしては引っ込めてた、
この言葉がついに。
『ママも行こうか?』
…言ってしまった。
「えっ…いいの⁉️」
パーっと表情が明るくなっていく娘。
『初めての面接でしょ。そこで悩んでたら時間が勿体ないから、一緒に行こうか』
それまで娘をまとっていた “強ばり” のオーラが
みるみる溶けていったように見えた。
《甘いよなぁ…》
自分に呆れる。
でも、不安なとき。特に初めての時は
近くに居てほしかった。子供のときの私は。
そして面接当日、二人でバスに。
娘は、面接自体は緊張していない様子。
二人がけの椅子に座り、私の方が楽しそうだった(笑)
隣の娘を見ては笑顔になる。
目的地へ着き、バスを降りる。
『じゃあ…頑張ってね!』
そう言って、娘を見送る。
「はーっ!」と緊張なのか楽しいのか…
娘は小さく叫んで、お店へ向かった。
その間―
私は一人、誰も居ないバス停で待っていた。
ベンチもないため、立ったまま。
道を行き交う車を見ながら
《シュンッ…シュンッ…みんな上手だな、運転…》
そんなことを考えながらボーッと突っ立っていた。
バス停に屋根があるのに気付かず、ずっと日傘をさしていた。
《あーっ…あらあら…》
ひとり照れ笑いをしながら、傘をしまう。
娘が上手に受け答え出来てることを想像しながら
お店の方をチラチラ見る。
― 20分後 ―
面接が終わったようだ。
こちらに駆けてくる、まだ幼い顔の華奢な娘。
『お疲れさまー。どうだった?』
「あんま喋らなかった。紙に色々かいて~…」
二人で話しながら歩道橋を渡り、
『見て!高いね!』と興奮する私。
「高いとこムリー!早く降りるー」と、小走りで下りの階段へ向かう娘。
ただの日常。
でも、なんか楽しくて幸せ。
残念ながら、この日面接したお店は落ちてしまった。
そして、今日は人生二回目のバイト面接。
またもや娘が一人でバスの時間を調べている。
…また、言ってしまいそう。
喉まで出てる。いや、口を開けたら出てしまいそう。
“あの” 言葉が。
飲み込んで飲み込んで……
『気をつけてね。いつでも電話していいから』
そう言って、見送った。
親子の、当たり前の光景なのかもしれない。
でも、数年前まで一緒に暮らせていなかった私からすると…夢みたいに、穏やかで満たされた日々。
アルコール依存なんて…もう、戻るはずがない。
もったいない。


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