《私はあなたのこと嫌いですよー》
これを周囲にも私にも気付かせるために、
わざとらしく目を合わせないやつ。
年上の保護者に多い。
…好かん。
人と話すときは相手の目を見ましょう。
そんなことも出来ねーのかよ、このババアは…
娘と同年代の保護者なんて、ほぼ全員私より年上。
おおらかで優しい人も普通にいる。
でも…いるんだよな。
《私はあなたを嫌ってますー。私が選ぶ立場ですー》
…よくこんな奴が結婚できたな。
私も、喋りたいから話しかけてんじゃない。
連絡事項として話さないといけないから、お前と話してんの。
それを《話しかけられちゃったー》みたいな素振りで。
……バーカ。
私は、相手の失礼にならないよう対面で話すときは
基本的に目を見る。
そんなこと当たり前だと思ってる。
その、当たり前すら出来てない。
お前は私より長く生きてきて、何を学んだの?
私は目の前にいる人を無下に扱わないし、
誰かと一緒になって悪口も言わない。
嫌いでも挨拶はする。
対してお前は…逆。
私より出来てるのは、仕事。そんだけ。
社会に出て、納税して、社会人として世の役に立って……
…………話、変えてもいいかな?
ごめんなさい、勝てない。一つも勝てない。
私は毎日、部屋にこもってB型作業所から
もらった作業をちまちましてる。
支援されてる。納税してない。
社会の役に立つどころか、お荷物………。
ヤツの方が、社会人として優れてる。
だから、私なんかと目合わせないのね。
それでも問題なく生きていけるのね。
…露骨すぎるよ。
《それでも、あっち側にはなりたくなーい》
とか思いそうになったけど。
なれねーんだよ。
いまの時点で、39歳で、なれてないの。
私は選べる立場なんかじゃない。
―そんなこと考えてると、辛くなってくるから。
今日も、何も考えてない風に生きてる。
人よりヘラヘラ笑って、
読める空気は読んで、
支援されてる側の空気をまとって。
本当は気付いてるけど、それを悟られないように。
じゃなきゃ、私は生きられない。
明日からも、私なりの鎧を着て生きていく。
私の嫌いなアイツはどんな鎧を着てたんだろう。
……あ、興味なかったわ。

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